厳密に言いますとリマスター仕様ではございませんが、CD用のマスターテープの音質精度を高めたものの模様でございます。
リマスターとなると、CDの特徴に合わせて音を調節・強調する感がございます。解像度が増すものの、音の輪郭が角ばったり、鋭すぎる音造りになる事があり、賛否両論に分かれるものもございます。
(オーディオ機器によっては耳に痛いものとなる事も..........................)
されど、ここでは古いものではございますが非常に良心的な音質となっております。
内容は言わずもがな。ラインナップは第二期、Andy Powell(G、Vo)、名手Laurie Wisefield(G、Vo ex-Home)、Martin Turner(B、L-
Vo)、Steve Upton(Ds)となります。
アメリカに活動拠点を移して三作目となる作品でございます。
後に登場するThin Lizzy、Judas Priest、Iron Maiden等々に代表されるツインリード・ギターバンドのルーツとして知られるブリティッシュ・ロックバンドでございます。
ブリティッシュ・ブルーズ/ロック系に絡む音楽性ではございますが、ブリティッシュ・フォーク系のメロディアスさが強い事がミソでございます。
ブリティッシュ・ロック特有のルーツ音楽解釈やアマチュア感覚が伴う音楽性でもございますが、ハードロックでもプログレッシヴ・ロックでもない当時独特の
ロック音楽
未分化時代出身の興味深さがございます。
アメリカ進出後は試行錯誤的ではありながらも、アメリカ指向の
大陸系ロック色の
音楽性に以前のメロディアスさの形を変え加えた感がございます。
但し、今作では泥臭さやハードさと(日本で言う)A.O.R.なメロディアスさを
強調した感がございます。
リズム隊はジャズ系の影響が強かった初期とは異なりロック色(とりわけハードロック色)が強いものではございますが、演奏の細やかさを残したもの。
音楽性もそれを前提としたもの。初期のブリティッシュ・フォーク的な繊細さとは異なり、アメリカンロック的な泥臭さと垢抜けた感のあるメロディアスさの融合したものとなっております。
ツインリード・ギターの有り方もギターヒーロー的な感覚を加えたものとなっております。
質は高かったものの試行錯誤気味だったLaurie Wisefield加入後の作品の中では非常に纏まりがあり、楽曲も(アメリカ指向とは言え)かなり魅力的な楽曲が揃います。
アメリカ指向とは言えど、やはりイギリスのバンド。メロディアスさは泥臭さの中でも独特なもの。アメリカ進出後大成功を収めたこの時代のRod Stewartの感覚にも
通じる感がございます。
また、(使用ギターが同じ事やかの”ヒプノシス”がジャケット・アートを担当する事もあるのでしょうか?)当時アメリカ進出を目指した天才名手Michael Schenker擁するU.F.O.の
(Paul Raymond加入以前の)
作品
にも繋がる音楽性でもございます.......................................
どちらが参考にしたか?は謎でございますが...........................................
アメリカ進出後の最高傑作とも呼ばれる作品でございます...................................(後のかのNWOBHM勃興への息吹を感じたからでしょうか?)その後拠点をイギリスに戻す事となりますが、分岐点的な感のある作品でもございます...................................
ギタリストの相次ぐ脱退(Eric Bell、Gary Moore)に頭を悩ませていたトリオ時代Thin Lizzyの頭脳Phil Lynottがギタリスト二名を加入させればどちらが抜けても大丈夫であろうとツインリード・ギター構想を思いついた事は知られておりますが。
そのツインリード・ギターを要する音楽性への変貌に関しては、このWishbone Ashをかなり参考にしていた感がございます........................................よりメロディを強調したものとなっておりますが.........................
この時代は両者ともにアメリカ進出を目論む事もあり、音楽性に共通する感覚がございます............................................
またEaglesを手掛けるプロデューサーBill Szymczykがアメリカ進出後のWishbone Ashの制作に携わり、
その後に手掛けた”Hotel California”とりわけタイトル曲後半のDon Felder/Joe Walshのツインリード・ギターの有り方の参考にしたのでは?とも言われます.....................................................................
この紙ジャケット仕様限定盤は入手が非常に困難。この機会に是非。