2012年度リマスター。かのJon Astley
がリマスターを担当でございますが、
非常に良心的な音質となっております。
(Led Zeppelin”BBC Live”等を担当。他The Who等々手掛ける。かの”Led ZeppelinⅢ”のアシスタント・エンジニア)
内容は言わずもがな。
ラインナップは名手揃い。
Frankie Bannali(Ds、Per、B-vo)、Carlos Cavazo(G、B-vo)、Paul Shortino(Vo、ex-Rough Cutt、後にKing Kobra他)、
Sean McNabb(B、B-vo、後にGreat White、Dokken、House of Lords、Lynch Mob他)となります。
またゲスト参加に、名手Jimmy Waldo(Key、B-Vo、現New England、ex-Alcatrazz
他)、Kimmy Johnson
(B、二曲のみ)となります。
そもそもかのOzzy Osbourneの復活・音楽性の土台構築に尽力した名手故Randy Rhoadsが1973年にKerry Garniと結成したバンド。
当初はトリオ編成でRandy RhoadsやKelly Garniがヴォーカルを担当。
但し得意分野ではない事から専属ヴォーカリストの必要性を感じKevin DuBrowを加入させ、”Mammoth”等々の前座を務めるなど活動。
”Mammoth”改名かの”Van Halen”がKISSのGene Simmonsの援助等を受け衝撃のメジャーデビューするものの、Quiet Riotは鳴かず飛ばず。
されど日本単独契約を得て二作制作するものの、話題に成らず。
またKevin DuBrow加入後は強烈な人間性のKevin DuBrowとKelly Garniとの確執があ、2nd製作後Kelly Garniは脱退。
Rudy Sarzoが加入し活動を継続。
されど後にVinnie Vincent InvasionやSlaughterで名を成すDana Strumの紹介で故Randy Rhoadsは
Black Sabbathを解雇となったOzzy Osbourneの新バンド構想の面接(笑)
で合格。
(オーディションではない事がミソ、初対面・一目で採用(笑)。「ルックスは重要だ」とのOzzy Osbourne談...........何かねぇ....)
故Randy RhoadsはOzzy Osbourneとの音楽的邂逅に賭け、バンドを去る事となります。
バンドはギタリストを加えるものの暫くして解散。Kevin DuBrowは”DuBrow”として再出発する事となります。
その後、名手三名Frankie Bannali、Carlos Cavazo、Chuck Wrightを新たに加入させ新バンド構想を目論んだKevin DuBrowは
Ozzy Osbourneの復活で名声を博す故Randy Rhoadsに掛け合い、”Quiet Riot”の名称譲渡を提案。
故Randy Rhoadsは同意。バンドはアルバム制作に万進するものの、Randy Rhoadsはかの不慮の飛行機事故で他界。
また故Randy Rhoads死去後のOzzy Osbourne Bandが流動的となり、
バンドに不信感を持った(”Quiet Riot”
名称権を持つ)Rudy Sarzoに
Kevin DuBrowが
再加入を提案、同意を得。
遂に
ラインナップが確定し、制作を進め完成。
1st「Metal Health」リリース後、かの”Slade”の秀悦なカバー楽曲の大ヒットと共に高品質な作品も大ヒット。バンドは順風満帆となります。
更にもう一度と同傾向の2nd「Condition Critical」を製作・リリースすれど「1stの焼き直し」とのレッテルを張られセールスは大幅に前作を下回り、
また強烈な個性を誇るKevin DuBrowの言動・行動が問題となりバンド内は不穏な空気が流れる中、
確執が極まっていたRudy Sarzoが解雇(Project:Driver~Whitesnake~Manic Edenへと移行)。
そもそもの”新生Quiet Riot”のメンバーだったChuck Wrightを再加入させ「QRⅢ」を制作・リリースすれど、
内容に反比例しセールス/チャートアクション共に見事に惨敗。
バンドの立て直しを迫られ、
Kevin DuBrow/Rudy Sarzoの確執騒動後にバンドの実権を握ったFrankie BannaliがKevin DuBrowを素行不良等の理由で解雇。
後任にPaul Shortino、そして再編Giuffria(後にHouse of Lordsに改編)へ移行した
名手Chuck Wrightの後任にSean McNabbを迎え、
”再生Quiet Riot”として制作に乗り出す、という実に面倒な経緯がございます。
さて今作。
初期/中期Whitesnakeに再結成Aerosmithを融合し、そこにかのBad English的な音楽性を加えた感のある音楽性。
以前のKevin DuBrow在籍時の音楽性とは大きく異なる感のあるもの。
正に再デビューの感のある作品でございます。
かの英国グラムロック系名バンド”Slade”の強い影響を受けた(コーラス重視を含めた)独特の音楽性は姿を消しておりますが、
非常なメロディ重視は同じ。
英国系の流れを汲むしっとりとした面を持つメロディは形が異なるものの健在ではございますが、L.A.Metal色を強く加えた感がございます。
また(日本で言う)A.O.R,系のメロディアスさ・洗練さもあり”大人向けのHR/HM”という感がございます。
シングル・ヒット指向のイメージが強いバンドで
コンパクトな楽曲が揃う作品ではございますが、シングルヒット重視のあざとさはないもの。
アルバム重視の感がございます。
時代性もあり大きなヒットには繋がらなかった作品ではございますが、八十年代中期のHR/HMを代表した隠れ名盤の一つという感。
Frankie BannaliというHM~R&R系(手数系・
スケール感・立体/躍動感重視の)名手でございますが、今作では幅広さ・多彩さのある演奏。
音楽性がヴォーカルの個性もあり柔軟な音楽性を指向出来る強みを生かしたもので、ベストワークの一つの感がございます。
プロとしてはそれほどの経歴が加入前に無かったと言われるCarlos Cavazoでございますが、今作では非常に興味深い演奏を繰り広げております。
Kevin DuBrow在籍時には、ブルーズの影響が無い稀有な嘗ての名ギタリスト故Randy Rhoadsを意識した感があり、
それに準じた演奏を指向していた(Kevin DuBrowが強いていた)感がございます。
そもそも
作曲面に長けた感のある演奏やソロワークが聴かれるギタリストではございますが、
ここではブルーズ系等々と幅広く多彩で表現力重視の非常に伸び伸びとした演奏が聴かれる
事がミソ。
また、作曲クレジットに全曲名を連ねており、音楽性の鍵を握る感がございます。
八十年代というギターヒーロー時代に本音と自身の演奏の多彩さを上手く合わせた見事な演奏を聴かせてくれます。
Quiet Riot離脱後、様々な活動に転身していく感のあるSean McNabbでございますが、
ここでは堅実さに自身の個性を巧みに加えた感がございます........................................................
”口は禍の元”を体現した感のあるKevin DuBrowに変わり、通受けの感が強いPaul Shortinoでございますが.....................................
正直一本調子で強烈さ重視の前任ヴォーカルに比べ、多彩さのあるヴォーカリストでございます。
声量面では前任に軍配が上がりますが、表現力の上手さ・多彩さは特筆もの。
更には初期・中期Whitesnakeや再結成Aerosmith、Bad English的な楽曲も見事に歌い熟す(作曲にも絡みますし)だけでなく、
楽曲の多彩さに一貫性を持たせる役割を果たしている感がございます。
また録音も素晴らしいもの。
八十年代中期に顕著になったディジタル・エコー感過剰な音造りの末期ではございますが、
アナログ感の温かみ・立体/躍動感とディジタル感が上手く融合した録音。
空間録音の上手さやオーヴァーダビングを控えた制作やドラム録音は唸るものがございます。
アメリカン・プログレッシヴ・ロックのミュージシャンとも言われるプロデューサーSpencer Profferの手腕は中々のもの。
八十年代を代表する録音の感もございます...................................................
この機会に是非。
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