1999年1月8日販売開始。第2世代最後にしてスカイラインGT-R名義として最後の型である。キャッチコピーは「
人に翼を」。
先代同様、第17回東京オートサロンで新車発表。この際、ニスモからはコンプリートカーの状態で展示が行われていただけでなく、
いくつかチューニングメーカー、ショップにも事前に納車され、若干のチューニングが施された車も展示された。
生産は2001年まで日産自動車村山工場、それ以降は日産自動車栃木工場で行われていた。
このBNR34型では、先代BCNR33型で不評であった大柄なボディサイズの縮小を命題としている。
ホイールベースで55 mm、全長で75 mmサイズダウンし、車軸位置の調整で前後重量配分を約55:45まで改善させるとともに、
車体剛性の算出にはMRS(マルチロードシミュレーター)と呼ぶ動剛性解析システムを導入し、前型比で動的ねじれ剛性を56 %、
動的曲げ剛性を100 %向上した。
第二世代最後のGT-Rとあり、この代でも先進的な技術が採用されている。
Vスペックの前方下部に樹脂製、後方下部に量産車初のオートクレープを用いて焼成されたカーボンディフューザーや、
可変2段リアウイングスポイラーのアドバンスドエアロシステムを採用。このディフューザーは車体下部前後を覆っており、
走行風を取り込んで圧縮・整流させボディ下面を通り、リヤで拡散させることでダウンフォースを発生させる仕組みとなっている
(標準車と比べバンパー下部が大きい)。さらにフロントバンパーの幅をタイヤハウジングより大きくしているが、
これは空気をタイヤハウジングへ溜めさせ、
負圧でブレーキを冷却させるためである。
タイヤ、ホイールは18インチ化された(サイズは245/40ZR18、18×9JのBBS
製鍛造
アルミホイール)
ものの、
1セットあたり1 kg軽量化
、ブレーキは先代同様引き続きブレンボ
製を標準装備しているが、本体色の変更(黒から金)の他に
取り付けボルトを太いもの(12 mmから14 mm)に変更し、支持剛性を向上させている。目立たない変更であるがキャリパーは
このボルト径が制動力に非常に大きな影響を与える事はあまり知られていない。
トランスミッションはドイツゲトラグ
社と共同開発した6速ミッションで、リバースギアにもシンクロ機構
が装備されている。
サスペンションもテンションロッドが一体型のアルミ鍛造のものに変更され、耐久性向上と軽量化を行っている
。
LSDは、R33型同様Vスペック系統にアクティブLSDを採用し、アクティブLSD準拠のATTESA E-TS PROを搭載している
。
エンジンは第2世代最後となるRB26DETT型を搭載。カタログスペックの最大出力280 PSはそのままだが、
ギャレット社製C100-GT25型ツインボールベアリングのセラミックタービンの採用と最大過給圧のアップで、最大トルク40.0 kgfmを達成し、
低回転域トルクの増加で常用速度域における運転性(ドライバビリティー)が向上している。
またエンジンのヘッドカバーは赤メタリックで塗装され「SKYLINE GT-R NISSAN」の文字が印刷されたプレートものが使われていた。
(BNR32、BCNR33までは黒で「NISSAN TWINCAM 24VALVE」)
また
Nrにおいては金色のカバーが採用されている。
2000年(平成12年)10月30日のマイナーチェンジでは、リアのブレーキローターを大型化(300 mmからN1仕様同等の322 mmへ)したほか、
各種フットペダルをRの文字が入った樹脂製からアルミ製のものへ変更、シフトノブもGT-Rロゴが入ったアルミ製ものに変更されている
(細かい所では、ターンシグナルランプがオレンジからクリアレンズになった点、センターコンソールのイリジウム調化など)。
同時にVスペックはVスペック IIとなり、量産車初となるカーボンボンネット(東レ製の「トレカ」を使用。
ボンネットは質感を重視する日産はカーボン剥き出しではなく塗装済を採用している。4kgの軽量化を図ると共にNACAダクトの
追加でタービン付近の温度低減が図られている。
奇しくもこの2002年というのはGT-RだけでなくホンダのNSXやマツダのFD3Sなどのメーカートップの人気を誇る
日本における看板車と言える車達が同時に生産終了している。
それは日本車における1980年代後半から続いていた「スポーツカー黄金時代」が一つの区切りを迎えたとも言えるのかもしれない。