盤共に非常に状態の良い中古でございますが、盤に若干摺りがございます。
内容は言わずもがな。
ラインナップは不動の個性派名手揃い。
故Keith Emerson(Key、ex-The Nice)、故Greg Lake(B、G、Vo、ex- King Crimson
)、Carl Palmer(Ds、Per、Per-Syn、ex-Atomic Rooster)となります。
プロデュースは毎度御馴染み故Greg Lake。
されどエンジニアは
Chris Kimsey(後にThe Rolling Stones、Marillion等手掛ける。”Kern Evil 1st Impression”のみ)
と
Geoff Youngとなります。
1974年6~10月英国ロンドン
”The Olympic Studios”
”Advision”及び”Air Studios”(10月、ミキシングのみ)での制作となります。
The Nice時代からアイデアを温め続けたかのムソルグスキー”展覧会の絵”の再構築抜粋版を
デビューライヴからセットに加え、前作の大成功の実績を強みに
完全版として製作。
次作としたい要望を持った故Keith Emerson。
されど故Greg Lakeに「ヤダ!」と拒否され説得。擦った揉んだの末にライヴ録音一発取り(音調整のみ。修正なしの筈)で制作したものの、今度はレコード会社がリリースを「ヤダ!」と拒否する始末。
粘り強い交渉の末リリースに漕ぎ着けるものの、廉価版レーベルリリースというオチ。
「スタジオ新作は造ってね」とのレコード会社(Greg Lakeも.....)の要望もあり、前作4th
”Trilogy”を
制作。
「”展覧会の絵”リリースという無理な要望が通せたのだから、新作は自分の主導で制作するからね」という故Greg Lake(プロデューサーですからレコード会社との大変な交渉も行っていた筈)の要望を
故Keith Emersonが受け入れた感。
前作”Trilogy”も以前程ではないにせよ、かなりのセールスを記録する事となります。
されど
廉価版レーベルという故Keith Emersonにとっては忸怩たる思いをしたものであったリリースであった
”展覧会の絵”が
何と!
全英・全米驚愕の大ヒットを記録。
”Trilogy”のみならず”展覧会の絵”の高評価・驚愕の大ヒットに加え、「天才」の名を欲しいがままという大きな自信を得た故Keith Emerson。
「それ見た事か!」と故Keith Emersonは意気揚々(名手Rick Wakemanにも似た話が.......)。
更に”Emerson, Lake & Palmer”の自主レーベル”Manticore”設立を経て創作の自由を得た事が重なった事で、並々ならぬ創作意欲が掻き立てられた故Keith Emerson。
次作制作に当たり、再び
音楽性の全面に立つ事となります.............................
さて今作。
大傑作”Tarkus”に回帰した感が有る作風ではございます。
されど大成功だったとは言えど、シリアスな旧A面に気楽でポピュラー、コンパクトな音楽性のB面(それでも強烈な音楽性でございますが....)と分裂気味だった事を前作”Trilogy”で反省・考慮。
前作ではシリアスさとポピュラーさを融合。大作は8分台に留めコンパクトさを全面に打ち出し、コンパクトさに絡む洗練さを強調した感がございました。
今作では”Tarkus”的な大作主義を打ち出してはいるものの、その
旧A/B面で分裂気味だった音楽性を修正。
前作”Trilogy”の音楽的実績成果を強く加味しており、演奏重視、大作主義重視とは言えど洗練・ポピュラー感が伴うもの。
また前作同様アルバムトータルで一貫性のあるものとなっております。
全盛期Emerson,Lake & Palmer作品で最高傑作と名高い大作主義作品ではございますが、意外な聴き易さがございます...................
”洗練”というテーマが前作から引き継がれており、インパクト重視だった新兵器”Moog Synthsizer”の使い方が更に変化してきており、興味深いものとなっております。
様々な録音を編集し繋ぎ合わせた感のある制作ではございますが、音響的な一貫性を強く持たせている事がミソでございます。
前作同様以前からのライヴでの高評価や”展覧会の絵”ライヴ録音の出来や実績が
自信としてある模様で、ライヴ感のある(余計なオーヴァーダビングを控えた感のある)録音・制作となっております。
当時の米国を中心とした”クロスオーヴァー”系(特に故Chick Corea)の音楽性を強く感じさせる故Keith Emersonの
ピアノ演奏、
そして故Greg LakeのElectric Guitarソロ演奏の巧みさが聴かれる珍しい作品でもございます.....................................
今作はリリース後、大ヒット。
チャートアクション/セールスが以前に比べ遥かに好調で最高傑作の呼び声高いものとなります。
ツアーも大好評で大会場中心となり長期化。
バンドは順風満帆となりますが、故Keith Emersonは「音楽的にやり尽くした」という感を強めており、バンドの解散を考慮し始める事となります。
されどプロデューサーたる故Greg Lakeは解散を阻止する為に、
”King Biscuit Flower Hour”用の実況録音を用い
渇望されていた本格的なライブ盤制作を提案。
冷却期間を設ける事となります............
ツアー後はライヴ盤制作に乗り出し、リリース。
こちらもかなりのヒットを記録する事となりますが、故Keith Emersonはオーケストラ共演を前提とした単独創作に乗り出す事となり、
故Greg Lake/Carl Palmerも追従。
それぞれ
単独創作に乗り出す事となります....................................
今作リリースは1974年。
プログレッシヴ・ロック、古典派HR/HM等々”アート・ロック”の大傑作が雨後の筍の如くこぞって登場という時期。
大作主義化の頂点で、
ここを境に
人気を博したバンドの作品インターヴァルが長くなる
時期でもございます。
また、アンダーグラウンドでは60年代のビート・ポップスや米国の”New York Dolls”や”Ramones”の音楽性をモチーフとしたかの”Punk Rock”が登場。
英国病や閉塞化した当時の英国社会への不満を露わとした歌詞を武器としたシンプルな音楽性のバンドが登場する事となります。
また金融を中心とした世界経済の大きな転換期も重なり経済状況も絡み、成功を収めたバンドや収めつつあるバンドは米国へ活動の中心を移していく事となりますが、
古典派系のバンドが徐々に追いやられていく事となります.........................
(かのRobert Plant曰く「バンドがどんどん大きくなっていく。そしてファンが「ヘイ!ついていていけないぜ!」と。その繰り返しだ」と.................)
バンドやBritish Rock等々含め、様々な”分岐点”の感がある作品でございます...................................
Emerson,Lake & Palmer解散後は映画音楽制作に勤しんだKeith Emersonでございます。
かのAsiaの大成功もありシーンの表舞台に引っ張り出され結成した感のあるのがかのEmerson,Lake & Powellでございます。
(故Cozy powellのソロ契約が基となっていたプロジェクトであった模様でございますが.............)
今作の洗練度はそのEmerson, Lake & Powellの音楽性の基となった感がございます.................................
ボーナストラックは三曲。
”Jerusalem”の没ミックス、”Karn Evil 9 3rd Impression”当初の
ヴァージョン、今作のプロモーション用抜粋ヴァージョン(ソノシートからの盤起こしの模様)となります。
音響面(空間の広がりと躍動感を求めたバンド側が却下という感)や編集の有り方が非常に興味深い音源でございます..................................
現在ではこの仕様盤は入手が困難の模様。この機会に是非。