2010年度日本独自リマスターではございますが、非常に良心的な音質となっております。
内容は言わずもがな。ラインナップは第二期、Andy Powell(G、Vo)、名手Laurie Wisefield(G、Vo)、Martin Turner(B、Vo)、Steve Upton(Ds)となります。
後に登場するThin Lizzy、Judas Priest、Iron Maiden等々に代表されるツインリード・ギターバンドのルーツとして知られるブリティッシュ・ロックバンドでございます。
ブリティッシュ・ブルーズ/ロック系に絡む音楽性ではございますが、ブリティッシュ・フォーク系のメロディアスさが強い事がミソでございます。
ブリティッシュ・ロック特有のルーツ音楽解釈やアマチュア感覚が伴う音楽性でもございますが、ハードロックでもプログレッシヴ・ロックでもない当時独特の未分化時代ロック音楽の興味深さがございます。
そもそもは一枚盤としてのリリース。
本編は1978年や1980年当時の新作”Just Testing”でのイギリス・ツアーでの実況録音からの抜粋でございますが、当時の初回限定仕様の1976~1980年イギリスツアーでの収録抜粋を纏めたボーナス盤を完全復刻したものとなります。
前作はかのThe Rolling Stones Mobile使用や名エンジニアKeith Harwoodが絡む事もあり、音質の評価も高かったものではございます。
今作もThe Rolling Stones Mobile、エンジニアは後にプロデューサーで名を馳せるRafe Mckenna。
なかなかの高音質となっております。
アメリカ進出以降の(その上にリリース当時のNWOBHMムーヴメントという時代背景を意識したかの様な)
ハードな音造りの感がございます。
選曲はアメリカ進出後の作品からの選曲が殆ど。但し、スタジオ録音では上手くいかなかった面をライヴ録音で再構築の感があり、バンド側が再評価を願う感がございます。
リズム隊は初期のジャズ色の強いものではなくロック色の強いスタイルとなっておりますが、巧みさという意味では同じでございます。
ツインリード・ギターの有り方もハードさを強めたもの。
(音楽性をも含めて)
影響を与えたThin LizzyやJudas Priest、Iron Maiden等々に明らかに繋がるスタイルで
アメリカ進出以降の名盤と言われる”New England”でのハードさを主軸に据えた感がございます。
(かの天才名手Michael Schenker擁するU.F.O.中期に繋がる音楽性の感も.................)。
アンサンブルは以前同様に非常に纏まったもの。コーラスパートも初期の青臭さが抜けた感がございます。
イギリスでは好評となりましたが、既に
アメリカからイギリスに拠点を戻しており、アメリカ進出~イギリス回帰時代の音楽性の集大成の感がこのライヴ盤にはございます。
今作を残してMartin Turnerが脱退。後任に何と!かのJohn Wetton(ex-Morgul Thrash、King Crimson、Roxy Music、Uriah Heep、U.K.後にAsia)が加入致しますが、時期からして御手伝い感覚の模様であっけなく脱退。
かのTrevor Bolder(ex-David Bowie、Uriah Heep)を迎えるものの、時代が時代。”Identity Crisis”の時代を迎えて、苦闘する事となります....................................................
ギタリストの相次ぐ脱退(Eric Bell、Gary Moore)に頭を悩ませていたトリオ時代Thin Lizzyの頭脳Phil Lynottがギタリスト二名を加入させればどちらが抜けても大丈夫であろうとツインリード・ギター構想を思いついた事は知られておりますが。
そのツインリード・ギターを要する音楽性への変貌に関しては、このWishbone Ashをかなり参考にしていた感がございます........................................よりメロディを強調したものとなっておりますが.........................
また後々にはEaglesを手掛けるプロデューサーBill SzymczykがWishbone Ashの制作に携わる事となり、
直後に手掛けた”Hotel California”とりわけタイトル曲後半のDon Felder/Joe Walshのツインリード・ギターの有り方の参考にしたのでは?とも言われます.....................................................................
また、かのIron Maidenが後に大傑作ライヴ盤「Live After Death」制作する際にThe Rolling Stones Mobileを使用した事が知られております。
前作ライヴ盤同様このThe Rolling Stones Mobile使用という事や当時のプロデューサーが(Wishbone Ashスタジオ作を手掛けたエンジニア)Martin Birchと言う事もあり、
かの”Live In Japan”だけでなくこの”Live Date”シリーズを音造りを含めた制作の参考にした感がございます.........
現在は入手が非常に困難。この機会に是非。